ダイフンキ 02 初回でアタリ☆大腸カメラ

2026/02/06

ガン 犬以外の話

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大腸カメラの予約

 2025年も残すところあと1ヶ月となった12月1日、僕は大腸カメラ検査を受けるために紹介された大きな病院の大腸肛門科にやってきたのでした。「大腸カメラを受けるため」と言っても、行っていきなり検査が受けられるワケではありません。この日は言うなれば「『大腸カメラの予約』の予約」の日。こんなんだからメンドくさいコトこの上ないのですが背に腹は替えられず。

 受付を済ませて待つことしばし。呼ばれて診察室に入ると、診察してくれたのはまた女医先生でした。健康診断のかかりつけの先生も女医先生で今回の大腸肛門科の最初の先生も女医先生で、さらにこのあと男性女性含めてお医者様たくさん出てくるので便宜上今回の先生をB先生とします。かかりつけの先生がA先生として。さて、B先生、大腸カメラ検査がどういうものかをざくざくざっくりと説明してくれました。大切なことはもろもろあったのですが僕がこの時に一番気に掛かったのは「検査の時に生検(※)やったら3日間、ポリープ取ったら1週間、飲酒と旅行は禁止」ということでした。(※)生検……検査の最中に何か怪しげなところが見つかった時、その時点でその怪しげなところの一部をカメラの装置でつまみ取ってきて検査すること。まぁきっと何もないだろうと(根拠なく)信じてはいれども、もし生検やらポリープ切除やらあったらそれなりに面倒なことになるのだなぁ。一通りの説明を終えて、さぁそれではいつやろうかとB先生。

「えーとねぇ、急げば年内に間に合いますよー。12月24日の水曜日、入れられます。」

 く、クリスマスイブ……!!面倒ごとは早めに片付けたいとは思うけど、年末も差し迫ったところに下剤とカメラでほぼ丸一日潰されるのはキツい……それに、ないとは思うけど万が一ポリープとかがあったら年内いっぱい、もしヘタすれば正月まで酒が飲めなくなる。そんなことになりゃ僕自身もイヤだしそれ以上に年末年始休みを一年で一番楽しみにしているヌシ様がすごくすごくものすごくガッカリするに決まってる!

「す、スミマセン、この検査ってやっぱり大急ぎでやらなきゃダメですかね……?」

「できればひと月以内を目安にやったほうがいいんだけどねー。」

「ちょっと24日は厳しくて……ですね……できたら年明けてからだと……」

「あー、まぁ、それでもいいですよ。それじゃ、年明けて1月の7日。」

「あ、う、7日か……その次の14日は……?」

「できます。」

「それじゃ1月14日の水曜で!」

「はい、それじゃ予約しておくので、下剤もらって説明聞いて帰ってくださいねー。」

 かくて、11月の半ばに陽性反応のあった便潜血検査の大腸カメラは、年を跨いで2ヶ月後に実施されることとなったのでした。万一に備えて、検査のある日の週末はキャンプ入れないようにヌシ様にクギ刺しとかないとなー、なんてお気楽なことを考えていました。

衝撃の大腸カメラ

 ガン検診のことなんてケロリと忘れつつ部屋の片隅に置いてある下剤の袋を時々視界に入れては大腸カメラのことを思い出しながら、毎年のように慌ただしくも楽しい年末年始を過ごして2026年1月、お正月休みも終わって少しずつ日常に戻ってきたあたりで大腸カメラ検査の日が近づいてきました。

 「どうせやってもらうんだったらしっかりガッツリ診てもらいたい」という転んでもタダでは系の僕なので、検査にはキアイを入れて臨みました。前日から食べるものにも細心の注意を払い、当日の下剤服用も手順に沿って慎重に準備を整えて、いざ病院へ。

 当日の予約は15時。午前中からの下剤の服用で心配していた「病院に向かう道中の下痢便噴出危機」にも見舞われることなく無事に病院に着いて待合室で待機。待合室には僕と同じように大腸カメラを受けるために待っている人が何人かいましたが、順番に呼ばれては消えていきます。僕のあとから来た人も呼ばれていきます。スタッフさんの「まだ待合で待ってる人いるけどー?」という手違いがあったかと思われるような会話が聞こえてきて予約時間を30分過ぎた頃にようやく僕の名前が呼ばれ、検査室に入りました。

 検査室で診察台に横たわるよう看護師さんに指示され、「いまからお薬入れますからねー」と点滴の管に薬を入れてきたのは初めてみる若い男の先生でした。C先生としましょう。前回予約しにきたときに診察してくれた女医のB先生もいます。

「それじゃ始めていきますね」とC先生が僕のケツの穴に潤滑剤をズブリと塗り込み、続けてカメラをズブズブと入れていきます。この時、僕は診察台に横向きに寝ているので自分のケツは見えていないのですが、横たえた顔の先にはカメラのモニタがあったのです。僕は横になってケツにカメラを入れられながら、先生は横たえた僕のカラダのケツにカメラを入れながら、同じ方を向いて同じモニタを見つめているのです。ちょっとシュール。事前に何も聞かされていませんでしたが、リアルタイムでカメラの様子が見られるのには少し驚きました。もともと見たいと思っていたのでよかったのですが。

 僕の腹の中を押し広げながら、モニタに映し出されるカメラの映像は僕の大腸の奥へ奥へと進んでいきます。そして時々、仰向けになったり脚を組んだりを体勢を変えるよう指示されて言われるままに動きました。胃カメラのように吐き気がしたりということはなかったんですが、それでもときどき腹の内側から強く押し込められるような感覚がなんとも苦しく、たまに痛いくらいです。

「うぐぐぐ……」

「あれ、苦しい? そしたら姿勢をこっちに変えて……」うなっている僕を見て、カメラを動かすC先生のうしろにいたB先生が声をかけてくれます。少し楽になったかな、と思ってモニタを見続けると、しばらくしてまた結構な圧力が内側からかかります。

「うーん、すごくじゃないけどちょっと苦しいです……」

「あらら、これで苦しいなら……ちょっと代わって。」

 カメラ操作をC先生からB先生に交代。うーん、年齢的に、C先生は見習いでB先生が監督してたと見た。まぁこういう大きな病院ではままあること、仕方がない。やはりB先生がベテランだからなのか、それとも峠を越えたのか、苦しさは少し軽くなりました。

「僕の腸、なんか変わってるんですかねぇ。」

「いやいや、そういうことじゃないのよ。ただちょっと下剤の効きが少し弱かったみたいでねー。ちょっと見るのに時間がね。」

「スミマセン、下剤、説明書き通りに飲んできたんですけど……」

「いやいや飲み方が悪いとかそういう話でもないの。別に店長さんが悪いワケじゃないんです。あえて言うなら薬が悪いと言うかね。」

 しんどさが少し軽くなったこともあり、のんびりした会話を交わしながら僕は穏やかな気持ちで検査が進むのを感じていました。

 「それ」を見るまでは。

 いま振り返ってみると、その瞬間に突然、空気が張り詰めたような気がします。そう感じたのは僕だけで、先生方は最初から張り詰めていたのかもわかりませんが。

 モニタに映し出されたのは、素人目で見ても明らかに「おかしな」「異様な」肉の壁。それまでずっとモニタに映っていたオレンジがかったピンク色のなめらかな肉とは違う、うっすらと灰色がかって盛り上がったコブに細く真っ赤な血の筋がついています。何も予備知識がなくたって、コレはヤバいとわかりました。

「……便潜血検査で拾ったのは、この出血ですね。」

 そういうB先生の言葉は、さっきより緊迫しているように感じます。

「……先生、コレって、ちょっとマズいヤツじゃぁ……」

「コレは悪いヤツですね。ほら、キレイなところと比べて見た目から全然違うでしょ」

 えぇ、言われなくても見た目のヒドさは分かりますとも。「悪いヤツ」って……B先生が看護師さんに指示を出しつつその「悪いヤツ」の検体を手早く採取するのを僕はモニタ越しに呆然と眺めていました。腸の肉のコブをクリップみたいなので少しつまみ取られても大して痛みも感じないんだな……

「(C先生にカメラ操作を渡しつつ)いまから手配するからこのあと帰る前にレントゲン撮って帰ってください。あと採血も。それと、早めにCT撮りたいんだけど……明日って来られます?」

「……あ……はい、明日、来られます……えっと……コレ、ガン、ですかね……? もしそうだったとして、このあとって……」

「手術ですね。」

 B先生含め、その場にいた先生も看護師さんも、誰一人として「ガンかどうかまだわからない」「ガンではないかもしれない」とは口にしなかったのでした。僕は自分のケツから引き抜かれたカメラで拡大されてモニタに映し出された、丁寧に剃り上げたつもりのケツ穴周りに剃り残された黒々としたケツ毛を眺めながら、「ガンかぁ……」とただただ思うばかりなのでした。

 続きます。

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東京生まれ、東京育ち。 いまもヌシ様、ししまると一緒に都内のマンションで2人と1匹暮らし。 炊事と機械設備担当。

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