僕の入院体験記は前回でおしまいなんですが、「入院」つながりのちょっとした経験談をお伝えします。またお金に関するお話。そもそも「個室がいい!個室じゃなきゃ!」という方々には知る必要のない話なんですがね。
「差額ベッド」ってご存じですか
入院すると病院のベッドで寝泊まりする、というのは入院なんてしたことないという人だって知っていることですが、そのベッド、さらにはその病室にはランクが設定されておりまして。追加料金が発生するベッドや病室のことを「特別療養環境室」、通称「差額ベッド」と申します。
標準で使える(追加料金が発生しない)ノーマルタイプのお部屋はたいてい4人から6人くらいが入る部屋で、その一角のベッドをあてがわれます。通称「大部屋」。
この「差額ベッド」、どんな部屋でおいくらなのかは病院によっても違いますが、いわゆる「フツーの個室」で1日1万〜3万くらい。じゃぁ「フツーじゃない個室」だとどうなるかというと、例えば某国立の病院のウン百床あるベッドのうち唯一にして頂点の個室は1日18万弱。さらに某有名私立医大の最高峰は24万ちょいですって。まさにエグゼクティブスイート。どんなVIPがお使いになるのでしょう。
この料金が「1泊」でなく「1日」というところもキモです。ホテルやお宿の宿泊料金は1泊いくら、ですが、差額ベッド代は基本的に1日いくら、なのです。1泊2日なら2日分。
今回の僕の入院のケースだと、普通の個室で1日2万2千円でした。もし使ってたら10日で22万円、予定通り2週間の入院だったら30万8千円。30万ですよ30万。外飲み何回行けるかな。そして前にも書きましたが差額ベッド代は高額療養費制度の対象外です。まぁ当たり前ですね。必要最低限にプラスアルファした分なワケですから。
病院の運営にだってお金がかかるのだから、取れるところから取っておこうというのは間違ってない話だと思います。「個室がいい! 個室じゃなきゃ!」という人だっていますしね。けどその商売根性、発揮のしどころによっちゃぁちょっとありがたくない場合がありまして。
「差額ベッド代の同意書」にはご注意を
実はワタクシ、自身の入院は今回が初めてでしたが、「入院の手続き」をするのはこれまでに一度ならず数回経験しておりました。身内でね。
やったことある方はご存じかと思いますが、入院する時っていろんな書類に名前を書かされるんですよ。誓約書とか、申込書とか、同意書とか。
入院て、あらかじめ「○月○日から入院しましょ」ということがわかっている「予定入院」と、救急車で運ばれてそのまんま入院するような「緊急入院」とがありまして、どちらについても入院は入院なのでどっかのタイミングで手続きはします。精算はたいていどちらも退院時にします。
予定入院の時はあらかじめ準備もしているのでそこまで大慌てというほどでもないんですが、緊急入院の時はそこそこドタバタします。そりゃ緊急事態が起きての緊急入院なんだから、そうなるのも仕方ないです。
で、いざ入院となって、もろもろの書類にサインを求められるんですが、僕が対応した時は「差額ベッド代の同意書」なる紙っぺらがしれっと紛れ込んでました。ホントに「しれっ」と。3回くらい。どの時も。
「差額ベッドの同意書」って何かというと、病院さんによって文面に多少の違いはありますが、内容はひとつで「もし今回の入院で差額ベッドを使うことになったらお金払ってチョンマゲ」というものです。コレが超クセモノ。
そもそも、「どうしても個室じゃなきゃイヤ!」という方には関係のない話、というかむしろ、個室に入りたくても空きがなくて大部屋にしか入れないことに大憤慨、みたいな別の問題が起きますが、そうでない人には、差額ベッド代なんて「余計な出費」に他ならない。だから大部屋で構わないですよとお願いするし、病院さん側だってああそうですかと言いますが、「もろもろの事情で個室に入ってもらわざるを得ない状況が」なんでか出てきちゃったりするらしくって。
そこでこの「差額ベッド代の同意書」が出てくるワケですよ。「差額ベッド使ったら、そのお代を払ってね」っていう「同意」。これにサインしちゃったら、もうどんな事情であれ、差額ベッドつまり個室に入れられちゃったらその分のお金を払わされちゃいます。だって「同意」しちゃってるんですから。「どんな事情であれ」、本人が特に望んでいなくても、それが完全に病院さん側のご都合であっても。だって、「そういう時でもお金ちゃんと払ってね」っていう同意書なんだから。
なので、本当に差額ベッド使いたくない時は、同意書のサインもちゃんと断りましょう。
断っても大丈夫です
さも「サインして当然」かのように差額ベッド同意書を出してきますが、サインしなくても大丈夫です。「個室しか空いていないことがあって」って言われても「それなら仕方ないので個室に入れてください金は出しませんが」と言って大丈夫です。むしろサインしちゃうほうがだいじょばない。
実は病院さん側には、病院さん側の都合等で個室に入れる場合は患者から差額ベッド代を取っちゃいけないという決まりがあるのです。お国(厚生労働省)が出している指針です。
差額ベッド代を出さない患者だから追い出す、みたいなコトはやっちゃいけないことになっているので、患者が望んだワケではないが病院側ないし治療上の都合で個室等を使う必要がある場合は、お代がもらえるもらえないに関わらず病院さん側は対応することになっています。
そこで例の「同意書」が出てくるんですが、この同意書にサインしてあると「患者が個室利用を希望した」ことになり、そのお代が請求できるようになる、というしくみ。
同意書にサインしたあとで、「そんなつもりじゃなかったのに……」というのはちょっとアレですよね。だってサインするってそういうコトですから。
それを緊急入院のどさくさ紛れにしれっとサインさせようとするってのがいただけないなと。
僕の体験、3回ともホントにしれっと書類渡されました。「サインしません」と拒否った時の反応は3回それぞれで、「あ、はーい」ですんなり進むこともあれば、お医者さんやら看護師さんやら事務員さんやらと「え、あの、入院の手続きなんですけど……」みたいなナゾの押し問答でひともんちゃく起きちゃうことも。
初めての時がその「ひともんちゃく」でしたね。その時は差額ベッドに関する知識なんてロクになかったですが、同意書の文章をフツーに読んだら、「え? こんなんサインするワケないっしょ」ってんで、「すみませんがこの書類はいますぐサインできない内容なので持ち帰りますね」って言ったらなんかゴニョゴニョ言われたんでした。理屈で言えば向こうがゴリ押しできる内容でもないから結局サインせずに終わりましたが、「ちょっと確認します」とかって言われて対応者が変わったりしました。お互いに「スムーズでなかった」のは確か。
やり方の問題
再三になりますが、差額ベッドや個室代の存在が悪いのではないのです。それを求める方もいるでしょう。病気やケガでしんどい思いをしている時に、ゆっくりと治療に専念したい、させたい、という思いで個室を選ぶのもごもっともな話です。問題は、「払うつもりがなかったのに払うハメになっちゃう」ということ。
実際に「しれっとサインさせられそうになった」経験があったがために、僕は今回の入院でも、この点については警戒していたんですが、本人が対応している予定入院であったせいなのか、同意書らしい同意書もなく、書類の一箇所に個室希望の有無の確認だけ書かれておしまいでした。こんなパターンもあるのかと逆に拍子抜け。やっぱり本人じゃない場合とか緊急の場合とかが狙われるのかしら。それとも病院さんによって違うのか……
何はともあれ。いろんな手続きがあって大変でしょうがサインする書類の内容はちゃんと確認しましょう、というお話でした。サインしたあとにコトをひっくり返すというのも大変な手間になります。サインする前に確認を。


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