【ご注意】できるかぎり誤った情報を出さないように心がけて書いてますがこの記事の執筆者はお医者さんでもなければ医療従事者でもなんでもないただの一般人なのでその点をご了承いただきつつ内容はご参考までにお読みくださいませー。
開けてビックリ
「ステージは『3』ですね。リンパ節に転移がありました」
「えっ……」
手術後最初の診察。執刀医であるD先生からの言葉は僕の期待を思いっきりブッタ斬る内容でした。
病院のスタッフの方たちにも驚かれて褒められるほど術後の回復は爆速で、入院期間も当初の予定を繰り上げて退院し、退院当日から犬の散歩に言って酒を飲んで恵方巻きを食っていた僕です。
以降、犬の散歩でよく会う人たちからも手術したばかりとは思えないと言われ、家ではもろもろの作業をこなしゴハンを作り、週末には長散歩をしてフィオ家と報告がてら飲み……と、入院前とあまり変わらずに楽しく元気に暮らしていました。
手術も問題なく終わったということもあり、「僕のガン、ぶっちゃけ大したコトなかったんじゃね?もう切っちゃって取っちゃって終わっちゃったんじゃねー?」くらいに思っていたのです。
キ05でも書いたように、入院前の所見では「ステージは2か3」と言われていたのですが、もしやガンの深さによってはステージ1だってありえるかもしれないと捉えることもできる話だったものだから、手術も術後も退院後もこんなに順調なのであれば、きっと軽いものだったのだろうと思い込んでしまいました。希望も込めて。
そういう希望や期待はあとが辛くなるからやめとこうって、最初にガンの見込みが出た時にはちゃんとできてたんですけどね。
退院して2週間後のD先生の診察、「ステージは2かなーもしかして1だったりするかなー今後の経過観察はどんなかなー」なんてお気楽な考えで臨んだところ、冒頭のフルスイングカウンターを食らったのでした。
まったく想像していなかった展開
D先生が、病理診断の結果を細かく説明してくれました。画像もいっしょに。退院直前に病棟でE先生が切り取った僕の腸の画像を見せてくれたけど、今回見せてもらった画像は、その腸の全体像に加えて、ガンの組織を調べるために細かく切り刻まれた、かつて僕の腸だった肉片がたくさん並べられて写っていました。ふむふむ、こうやってガンが「どんなガンか」を詳しく調べるワケね。
ガンの大きさは4.5センチ。国内データで、大腸ガン全体でのガンの大きさの中央値が4.0センチ、平均が約4.3センチだから、まぁそこそこスタンダードなサイズにまで育ってたのね。肝心なのは「大きさ」よりも「深さ」らしいけど。
大腸の皮も、顕微鏡レベルで見ると皮一枚の中が一番内側の粘膜から一番外側の外膜までいくつかの層になっているそうで。僕のガンは、もう外膜に接する漿膜まで進んじゃってたとな。深さを示す因子Tで表すと「T4a」。一番進んだT4bの一つ手前ですと。
そして深さよりもさらに問題視されるのが「リンパ節への転移の有無および数」。リンパ節は身体中を巡る体液におかしなモノが混じっていないかを見張る関所。大腸ガン含むいくつかのガンでは、進行するとそばにあるリンパ節にまでガンが増えていきます。さらにそれが進むと、肝臓だったり肺だったりという他の臓器にまでガンが増えていく「他臓器転移」という状態になるのですが、「基本的には」、他臓器転移に至るよりも前にリンパ節転移が起きているので、リンパ節転移の程度はガンの進行度合いの大きな目安になります。
そのリンパ節転移も起きちゃってましたよと。切り取ったリンパ節22個のうち1つだけだったのですが、1つでも転移アリはアリなのです。リンパ節転移を示す因子はN。転移個数が1個なので「N1a」。
他臓器転移については手術前の見立てと変わらず「転移なし」ということで、因子Mは「M0」。
これらのT因子、N因子、M因子の組み合わせでステージが決まります。ステージはゼロから4までの5段階。で、「3」。えっと、4の一つ手前じゃん。しかも「3」の中でも3つの細分化があって、「3b」。えっと、「3c」の手前じゃん。ステージ3b。大絶賛進行中ですか。誰だよステージ1かもなんて言ってたの。ミスターマイセルフ。
結構ショックでした。いやかなり。一瞬、先生の言葉がアタマに入らなくなって慌てて聞き直すほど。あれ、なんだろちょっと心臓バクバクする。漿膜まで浸潤? リンパ節に転移? それってさぁ、でかいカタマリは取り除いたけど細かいカスがカラダの中に飛び散っちゃってるかもなんだよね? 再発しやすそうな雰囲気じゃない?
「再発を知った時は原発の時よりショックだった」って何かで見た気がする。まだ再発したワケでも、すると決まったワケでもないけど、その思いが少しわかった気がした。だって、最初にガンを見た時よりショック受けてる自分。
さらにビックリしたことには、「抗がん剤治療をしましょう」とな。うっわこれまた想定外。まぁそれも、自分で勝手に「抗がん剤はやらずに済んだ」と早合点してたからなんだけど。
「補助化学療法」と言って、メインの治療である手術に加えて、さらに再発を防ぐことを期待して行う治療なんだそうだ。やるとやらないとで、再発の率が半分も変わるんだとか。僕の場合、具体的に言うと約2割が約1割に下がるんだって。
飲み薬を1日2回、飲んだり休んだりを8回繰り返して半年間やっておしまい。効果があったかどうかは再発したかどうかでわかる、という出たとこ勝負な治療法。
飲んだって再発するかもしれない。飲まなくたって再発しないかもしれない。それは誰にもわからない。けど、再発率が半分になると統計的に確かめられているとなれば、やらないという選択肢はありませんでした。おそらくは副作用が出るだろうとしても。
約1割。10パーセント。10人に1人。これを多いと見るか少ないと見るか。なんにせよ、統計は統計、割合は割合です。その統計的な割合が確実なものだとしても、9人のシロか1人のクロか、自分がどちらなのかは誰にもわからない。そもそも割合の話をするなら、50歳未満で大腸ガンになること自体、わりかしレア案件なワケですし。
何はともあれ、もう油断はしないようにしようと思いました。「再発するかもしれないぞ」ということを、ちゃんとココロのど真ん中に据え置いておこうと。別に覚悟を決めたとかそんなんじゃなくて。
そして2週間後、退院から1ヶ月が経った3月の初めに、抗がん剤治療が始まったのでした。


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