5日目、尿漏れ、蓄尿廃棄
朝6時過ぎ。看護師さんの検温の前に目が覚めた。夜中から寝汗がひどかったがもう我慢できない。替えの寝巻きやタオルはもらってあったので自分で起きてカラダをざっと拭いて着替えてしまった。痛み止めが効いているせいなのか、度々鈍い痛みがあるもののゆっくり動くなら問題ない。どうせもうすぐ朝の測定だから、そのまま点滴台をひっばりながら病室を出て洗面所まで行き、洗顔を済ませた。戻る時に看護師さんに「手術したばっかりとは思えないくらいちゃんと歩けてますね!」と褒められた。嬉しい。
ベッドに戻って検温や血圧測定があったあとは座ってPCをいじっていたのだが、8時過ぎてからシーツ交換に病室の清掃、点滴の交換にD先生の訪問とちょくちょく人の出入りがあって賑やかだった。そして10時、今度は何かと思ったら「尿管周りを掃除する」とな。前々日の手術以降、僕の股間にはいまだに尿を出す管が刺さりっぱなしだった。「バルーンカテーテル」と呼ばれるこの導尿の管、尿道の先から管を差し込んで、膀胱の中で管の先を風船のように膨らませて留めておくものなのだが、本当に自分の意思と関係なく自分の尿が体の外に繋がっている袋に勝手に流れ出てくれる。誰もが日々感じる「シッコがしたい」という「尿意」を感じることもない。こりゃすごい。そんな便利なアイテムなんだけれども、やっぱりずっとつけてると、体を動かしたりした時に少しずつ尿が漏れてきたりしちゃうので、時々拭いたりカテーテルの貼り付けを直したりするんだそうだ。自分で股間のパッドを見てみると、なるほどカテーテルが差し込まれているサオの先が当たっていたところにいくつか黄色いシミができている。まぁ、こんなのはカテーテルしてなくたってよくあること、むしろ少ないくらいではなかろうか。股間を拭いてもらってパッドも替えてもらったが、替えのパンツやパッドはもう少しあった方がいいかもとアドバイスされた。じきにカテーテルも外せるが、外した直後は漏れやすくなるんだって。後ろから前から大変だこと。よくよく考えたら、起き上がって洗面所に行って顔を洗えるぐらいなんだから自分の股間くらい自分で拭いたらよかったのではと処置が終わってから思った。
股間の清拭のあと、点滴も変え終わったので少し動こうと病棟内を散歩し始めたら、前日同様にまた抗生剤の点滴が落ちなくなってしまった。やっぱり抗生剤をしている間はあまり動かないほうがよさそうだ。仕方なく抗生剤が落ち終わるまでまた病室で過ごして、終わった11時過ぎに軽く散歩に出てみると、今度は病棟内で昼ごはんの配膳の準備が始まっていた。廊下も混み合いそうな雰囲気。昼日中は散歩に向かないかもしれない。少ししてからまた病室に戻って、お茶と飴で過ごした。食事はまだ出ない。14時、スタッフの人が尿の回収に来た。そうか、シッコしなくてもシッコが勝手に出てってくれるけど、バッグに溜まったシッコは抜かないとだもんね。バッグから抜いた尿は2.5リットルあった。すごく多いですねとスタッフさんと笑った。
その後、この日はずっと平穏だった。「キングダム」の続きを読んだり、バレンタインデー毎年恒例で注文している「ししチョコ」のデザインを選んだり。入院しててもこんなことをして過ごせるなんて、手術直後のネットショッピングといい、技術の進歩に恐れ入る。MacBookもiPadも持ってきてホントによかったわ。
20時過ぎくらいになってまた病棟内の散歩に出た。今度は廊下も空いていたが、しばらく歩いているとだんだん股間に違和感を覚えた。歩く度に、管が揺れてその振動が尿道に響くみたいだ。いまのところ、「ちょっと響くな」くらいの感覚だけど、これを続けて膀胱やら尿道やらに傷ができたりしたらあとあと辛くなるので、15分もしないで終わりにしておいた。我ながら大人になったもんだ。
仕事が終わったヌシ様がメールをくれた。またししまると同伴出勤して、どちらも元気にやっているということでよかったのだが、なんとヌシ様の手の甲にシモヤケができてしまったとな。冬場の散歩に水仕事に、慣れないことをさせたからだと申し訳ない気持ちになった。散歩の時はちゃんと手袋をして、濡れた手はちゃんと水気をタオルで拭って、こまめにオイルかワセリンを塗るように言って、ワセリンのある場所を教えた。やれやれ、やっぱり早く帰らにゃなぁ。「キングダム」を28巻まで読んで、0時に寝た。
6日目、流動食、シャワー、測尿、初ウンコ
明け方、寝汗で目が覚めたけど、もう少しで検温の時間だからと思ってそのまま寝続けた。6時半、検温と採血で起こされて起床。濡れタオルをもらって自分でざっと体を拭いて着替え、洗顔とハミガキ。前日よりも動く時のしんどさが減ってきた。
8時ごろ、E先生が来て、腹の傷の様子を診て「もうよくなってきてますね」と穴の傷口に貼ってあったテープを全部剥がしてくれた。さらに、痛み止めの薬のボトルを見て、「もうなくなってるね」と背中に入った管も抜いてもらえた。そうか、もう痛み止めは切れてたのか。それでこの程度なら、そんなにつらくないぞと少し安心した。あと体につながっているのは点滴と導尿だけど、この調子なら導尿も終わりにして、食事も重湯から試してみようって。着実に回復の一途を辿っているのが嬉しかった。
9時過ぎ、看護師さんが導尿の管を抜いてくれた。「チカラ抜いててくださいねー」。あー、管を抜く時、尿をガマンしたり出し終えて絞ったりする時の筋肉にチカラ入れてたらそりゃきっと痛いだろなぁ。はい脱力。つるん。何事もなく抜管完了。数日間、パイプに串刺しにされていた僕の股間がようやく元に戻った。ものすごい解放感。サヨナラ尿バッグまた会う日まで。これからはまた自分でトイレに尿を出しに行きます。
痛み止めも導尿も終わったのでエレベーターが解禁された。加えて、今日はレントゲンを撮ってこいとの指示も出た。点滴台を引いてエレベーターに乗って地下の検査室に行き、レントゲンを撮ってもらって、その帰りに売店にも寄れた。前日のアドバイスに沿って、履くタイプの紙パンツと使い捨てパッドを追加で買った。あと飴も。ずっと塩気が絶たれていたので「塩あめ」を買った。これまたものすごくおいしかった。
嬉しいことはさらに続く。シャワーが解禁になった。点滴はまだ外れていないのだが、シャワーの時は点滴部分をテーピングして入れるんだって。事前に浴室の予約表に名前を書いておいて、11時半に入りに行った。術後初めてのシャワー。ベッドでウンコを漏らしてから初めてのシャワー。なんと気持ちいいことか。考えてみれば手術前日にもシャワーを浴びているので4日しか経っておらず、真冬に5、6日シャワーなしで過ごしたりしている僕にしてみれば大した話ではないのだけれど、その時は腹を切られることもなければウンコを漏らしたりもしていないので、やっぱり今回の気持ちよさは格別なのだ。手術の傷跡には直接にシャワーが当たらないように気をつけたので、さほど痛むこともなかった。シャワーから出て、紙パンツもパッドも新品に替えた。まだシッコやウンコが漏れるかもしれないのでパッドは念のために。あぁさっぱり。
12時過ぎ、E先生が話していた通り、食事が出た。重湯は聞いていた通りとして、それ以外にもコンソメスープやらジョアやらヤクルトやら、汁モノがいくつも出てきた。なるほどいわゆる「流動食」というヤツか。もともと出されたものは平らげたい性分なので全部食べた、もとい全部飲んだが、当然ながら水っ腹になってしまった。済んだ食器を片付けに行くついでにトイレで排尿。しばらくの間は尿の量を測り記録しろと言われたので、トイレに置いてある使い捨て尿カップに放尿し、目盛りを読み取ってからカップの尿を捨て、カップを捨てる。これを狭い個室の中に点滴台も引っ張り込んでやるので、地味に面倒くさい。尿量も書かなきゃならないし。記念すべき初回の尿量こそ170mlで済んだが、口寂しさでお茶やらコーヒーやら飲みまくる僕は導尿バックに2.5リットルの尿を溜め込むカラダである。置いてある測尿カップは大きめで400ミリ入るものだったが、ほぼすり切りで400である。尿道口をカップに向けて勢いよく放出した尿が泡を立ててみるみるうちにカップを満たしていき、あわやこぼしそうになったのが3回目だった。それ以降、排尿の際に300ミリくらいで尿を止めて、一旦カップの尿を捨ててからさらにカップに残りの尿を出して合算するという技術を身につけた。1回に400や500はザラだった。ロング缶1本分を出してるんだな。
食後の計測で、体温も血圧もようやく平常値になった。順調に体が元に戻ろうとしている。午後はひたすらお茶とアメを取りながらキングダムを読み、前日に完了しなかったDECOチョコの発注作業をした。欠品の入荷待ちのタイミングでアクセスしたのだが、みんなが狙ってたようでサーバーが激重になっていて発注が完了するまでに30分もかかった。こんなことするのも久しぶりだけど、これが入院して手術終わってゆとりあるタイミングでちょうどよかったのかもしれない。おかげで今年もかわいい「ししチョコ」が注文できた。
18時ごろ、またE先生がやってきて、今朝の採血の検査結果を教えてくれた。炎症にかかわる数値もよくなってきているとのこと。その後また流動食づくしの晩ご飯を平らげて、とうとうようやく便器で手術後の初ウンコができた。ほとんど水分ばっかり摂ってるんだからほぼ水下痢なのは仕方ないにしても、ベッドで漏らした時よりも固まりつつある。もろもろ順調だ。
20時過ぎ、病棟の廊下も空いてきたあたりでまた病棟内散歩。もう導尿の管がこすれるのを心配することもなく歩けるのが嬉しい。もらったイヤホンをつけて音楽をかけて張り切って歩き始めた。だがここで違和感。傷も痛まないしと少しペースを上げて歩いたが、脇腹が痛い。傷口の痛みとは違う。よく、運動不足の時に走ると痛くなる、あの痛みだ。なんだこれ、まだ歩き始めて5分くらいなのに。少しペースを落とす。すると痛みも和らぐ。やっぱりあのランニング痛にそっくりだ。それなら、しばらく動いていれば痛くなくなるはず……そう思ってペースを落としたまま続けて歩くと、15分を過ぎたあたりでだいぶ治まってきて、20分を超えた頃にはすっかりなくなっていた。まさにランニング痛。ようやく痛みもなく歩けるようになったのでさらに歩き続けて、30分程度で部屋に戻った。ちょっと歩いた程度であの痛み、「もろもろ順調」とはいえ、やはりまだ回復の途中ということなのか。焦ってはいけないとわかってはいたが多少不安になった。
夜、寝る前までまたひたすら「キングダム」。34巻まで進んだ。疲れたのか、ベッドに入ったらすぐに寝てしまった。


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